「プロゲーマー」にようやく市民権? 思うこと、いろいろ
ニュースチェックをしていると、こちらのヤフーの記事が目に入ってきました。
配信元は週刊SPA。
ざっくり要約すると、海外や韓国ではプロゲーマーが盛んで、それを取り巻く環境も充実。しかし日本ではようやく市民権を得たレベル。一応プロゲーマー集団によっては下位の人でも給料が支払われる……。ウメハラ凄い……。というもの。
個人的には、ゲーム業界を盛り上げたい心は常にありながらも、このプロゲーマーというものにはどうも常々懐疑的ですね。
認識不足やナナメの上の考え方などが目に余るかもしれませんが、まあ、戯言と思っていただければ。
職業として
これはよくあるオタク批判的な、業界を知らない人による頭が痒くなるような発言になってしまうかもしれませんが、やはり職業として、将来的なものも考えると、それでいいのだろうかと思ってしまいます。
生き方なんて人それぞれだし、プロゲーマーを辞めてもまた違う仕事もあるでしょう。しかし今の世の中を見ると、30歳までにある程度道を決めておかなければ、なかなか厳しいものがあります。
厳しくてもそれでいいと思っていたり、人が厳しいと思うだけで意外と厳しさを感じていなかったり、そもそもおせっかいにほかなりませんが、つぶしのきかない人が増えていくかと思うと歯がゆいですね。ただし、あえて手に職がない人じゃないとやらせるのは勿体無い仕事というのが、言葉は悪いですがいわゆる底辺職のようなものが、一定数必要なものとして存在します。ですからまあ、なにもプロゲーマー関わらず、他の夢追い人が夢諦めた先の受け皿として機能している以上、プロゲーマーもそれに値するのかもしれません。
ともあれ、プロとして華々しく稼げるシステムがあり、プラミッド構造が作られ、そういう人を生んでいるシステムになっていると思うと、なら最初から無い方がいいではないか、と感じてしまいます。
加えて、現状概ね40歳までのプレイヤーのみですが、彼らが50、60になったらどうなるでしょう。競艇のようなシニアリーグでもできるでしょうか。あるいは解説者、技術者、etc……? こと初老からの人生プランというのも、気になってしまいます。
ゲーマーとしてのある種の嫉妬のようなもの
もともとゲームは得意な方ではありません。プレイよりも、バックボーンの分析や考察という部分のほうが好きです。対人戦はできるだけやりたくないなぁ、と思ってしまう方です。それでもやはり、人より上手くありたいという心はあります。
プロゲーマーという存在があるとどうなるか。
少なくとも、趣味の範囲で遊んでいる人との実力差は歴然となります。太刀打ち出来ません。麻雀のようなものでも無い限りは。
すると、せっかく好きなゲームなのに、職業プロとしてやっている人がいて、上手いものを見せつけられると萎えてしまいます。自分も練習して上達して…って、そもそも使える時間が違いますから。
せっかくプレイヤーとして楽しもうとしているのに、上のほうでそういう仕組みを作られたせいで、なんかやりたくなくなる。
当然、気にせず自分の範囲で楽しめばいいんでしょうけど、自分の場合は萎えてしまいます。
これが例えば、自分はメタルギアのファンですが、ニコニコ動画でものすごく上手なプレイヤーのネタ動画を見ても、それは一向に構いません。どれだけ上手くても根本的な部分が揺らがないからかもしれません。RTSのようなものではないですから。新たな発見があって面白いだけです。
先ほど例に上げた麻雀、それから野球も、プロアマあります。むしろプロといえば野球という感じですね。
ではなぜ野球が嫉妬にはならないかといえば、自分も野球経験者ですが(正確にはソフトボール)、才能が左右するのがわかってるからというよりは、そもそも土俵が違うからですね。突然投げたくなってもプロのマウンドで投げることはできません。アマで楽しむぶんには、プロはしゃしゃり出てこない。
ゲームは異なり、遊んでいるのは全く同じステージです。レーティングによるマッチングの有無は当然ありますが、当たらなければいいのかというと、それはプロ野球とはちょっと意味合いが異なりますね。
おんなじステージで、職業として時間使って、べらぼうに上手い人達がいる。じゃあ、自分がやってるこれは……。ストーリーを追うゲームでもなければ、なんなんだろうか、と。
たしかにスポーツと言われればその通りですね。eSportsと言うくらいですし。でも本当に、野球などのプロスポーツと意味合いが一緒でしょうか……。
本当に業界を発展させるものなのか
多くの競技がプロ化して飛躍的に発展したように、ゲームも、プロ化で発展が見込まれています。
海外では大きなスポンサーが付き、億単位の金が動くようになりました。これはいいことのように見えますね。
別に国内と比較するわけではありません。
単に、ゲーム自体が飽きられたらどうするんでしょうか。
LoLもアップデート等繰り返しているでしょうけど、ずっと遊ばれるわけでもないでしょう。むしろずっと遊ばれても困りますね。
新作が出て、対人要素が盛り上がるとプロ化していくんでしょう。すると製作陣も、プロ化されるようにデザインします。格闘ゲームなら、格闘ゲームの流儀や相場を守った新作ばかりが出るようになるでしょう。FPSも、シリーズごとの特徴はあっても、どうしても素っ頓狂やアンバランスなものは作れなくなります。アンバランスならレギュレーションを作ればいいだけかもしれませんが。
すると完全に別物になる 【娯楽のゲーム】ではない
そこまでくると野球などと同列で、野球のようにずっとほぼルールの変わらない同じものを遊ぶわけではありませんが、基本的には似たより寄ったりのゲームを、スポーツとして、スポンサーがついて、盛り上げていくことになります。先程は疑問の目を向けましたが、“野球などのプロスポーツと意味合いが一緒”ということになりますね。
新たなストーリーやシステムを搭載した、趣味ゲーマーが求める意欲的なゲーム、とは別枠になります。
そう、自分が懐疑的な目を向けた先は、『ゲームのプロ化が発展したら発展したで、それは既存のビデオゲームとはまったく違うものとして分裂増殖していっているだけ』という具合です。
しかしそれでも、FPSやRTSや格闘という、いくつかのジャンルが“食われた”格好には変わりありません。自分の限界まで上手くなって、中にはめちゃくちゃ上手いやつがいて、戦い、たまには勝ち、じゃなくて、もうプロが居るから勝敗の上では絶対に太刀打ち出来ない。
ゲーム業界が盛り上がる、というよりは、ゲームのうち競技性の高い一部ジャンルがスポーツとして分離独立増殖発展し、別のものとして盛り上がる。
まとめると、職業として大丈夫なんだろうか、というおせっかいによる心配と、上記のようなことを感じた、以上今日のコラムでした。なんか『噂の現場』みたいな終わり方ですが。